2013年8月31日土曜日

むかしむかし

 働きもので親孝行な農民の若者。年の瀬に、ワナにかかっていたキジを助けて、不思議な嫁(しかも美人)をむかえる。

 幸せに暮らしてた若者は、鬼退治のために将軍さまのともをすることになった。不思議な嫁は、鬼を一矢で射たおすことのできる、キジのりっぱな魔法の尾羽根を若者に与え、もとのキジの姿で、泣きながらどこかへ飛んでったそうな。

 それって…、オトコ(オス)だったんじぇねえの?

 あ、いやいや、愛があったんだから、こまかいことを気にしてはならない。





  "日本の昔話"
  柳田国男せんせ、三浦佑之さん
  角川ソフィア文庫

 

2013年8月26日月曜日

おみやげ

 娘が学校の補習から帰ってきたのは1時過ぎだった。

 "これ"

 と、かばんからぞろりと出したのはヌンチャクだった。
 横浜の中華街に行った友だちの土産なんだと。

 遅い昼食を食ってから、娘はパソコンにかじりついて動画を検索していた。ヌンチャクをぶんぶん振ってる動画。ブルース・リーが、ヌンチャクで卓球やってる動画もあった。

 初心者向け、てな動画を見つけて、娘はヌンチャクを振りはじめた。

 "あっ、むず" "できんし"

 それから娘は、2時間ばかり、ぶんこぶんこヌンチャクを振り続けていた。

 高校受験まであと何ヵ月? 娘15歳の夏の日であった。

”犬身” 松浦 理英子(著)

 予想外にぶ厚い、辞書かいなゆう本がとどいてびびった。が、順調に読み進めてあと1cm、いや数mm。

 ところがこの残りの1cm弱が怖くて、読むスピードが落ちてしまった。

 ヒトが犬に変わる変身譚、奇譚だけれど、それはじぶんにはまったく抵抗もなくて、すんなり胸に落ちた。

 見知らぬ犬にでも認識されたい、ちょっかい出したい。でも押しつけがましくないかびくびく、ゆうのはいつもじぶんがやってることなんで笑ってしまった。通勤でクルマを運転してても、犬の散歩をしてると首を振ってでも見てしまう。
 きれいなお嬢さんが歩いてると前のクルマにオカマほりそうになりながらでも見ちゃう、それとおなじかそれ以上である。

 重要なテーマのセクシュアリティーについては、じぶんはちょい変わってるとはいえマジョリティーの方で(たぶん)、おまけに氏の言われるところの"性器結合中心主義"者なもんで、耳にいたい話がちらほら。

 妙にまの抜けた緊張感のない、不思議空間でのオオカミとイヌの会話が好きだった。オオカミが完全無敵でないとこも。

 性表現もおっさんだけにびびるわけでなし、きっつい登場人物の状況にも、いきどおりは覚えるけど、聞いたこともないヒドイわ、とショックを受けることもなし。たんたんと読んできた。

 それが残りあとわずかゆうとこで突然怖くなった。

 主人公(主犬公?)の感じ方とじぶんの微妙なずれとか、みょうにあまったるい静けさとか。動きはじめた世界とか。いろいろなもんから(実は説明できね)、終末の大きな悲劇が予感されて怖い。主人公の、心配はつきないけど幸せな生活が寸断されるのが怖い。

 この作家さんの本を読むのは初めてなんじゃけど、かまととぶったあまい終わりかたをするわけがないことは充分にわかっている。

 では、いざいざ、覚悟をきめて終末の章へ。








"犬身"松浦 理英子 (著)
出版社: 朝日新聞社 (2007/10/5)
本の寸法: 19 x 13.2 x 4.2 cm!?(512ページ)
 Amazonの情報より

めぐみの

 干上がってたのはたしかなんじゃけど、こんな一度じゃあ困ります。カミサマ。

 うぉんうぉんと音をたてて雨、降りやまず。

 しゃれんなりまへんがな。

2013年8月17日土曜日

映画”パシフィック・リム” さいこーでツわ

 監督さんがアニメ、マンガ好きとなんかで読んでたので、アニメのスーパーロボットものを実写化したもんと思ってた。マジンガーZとか勇者ライディーンとか。古い?

 それがもう、鳥肌たつぐらいに特撮映画だった。

 ハリウッドが本気でゴジラつくったらトカゲになっちゃったんだけど、このCG使いまくりの超大作は、セットと着ぐるみのにおいがほのかにする、むかしのニッポンの特撮映画のものすごいやつだった。ものすごいけど、SFXゆう言葉はあわなくて、特撮映画。

 いまのCG特撮に通じるような、ハリーハウゼン先生の緻密さと、ニッポンがこだわってた着ぐるみ特撮のダイナミックさが合体した感じ。

 もちろん突っ込みどころが満載なんじゃけど、それもふくめてうれしくてしょうがなかった。

 "おー うおー よっしゃー!"、と心ん中でしじゅう声をあげながら見てて、なんでまわりの人は静かにおとなしく見とんじゃろうか?、と不思議に思った。

 この映画を、いまは休館中の地元の映画館でかけてくれたら、のりのいいアメリカ人の兄ちゃんといっしょに見れて、倍たのしかったんじゃないかと妄想した。

 おたけびあげたり、拍手したり、立っておどったりしながら見る映画ですがな。

 カイジューと巨大ロボが格闘すんのを素直に喜んで見れる。ひさびさの経験でした。平成ゴジラ、ガメラ以来かもしんない(TVで"ミカヅキ"ゆうのもありましたな)。

 ごく一部、"許されざるもの"の予告編のようなマジなシーンがまちがって混じってましたが(女優:芦田愛菜が鬼気せまる熱演とこ)、はじまりから終わりまで一直線。こまかいギャグもしっかりまじえて、一部のスキなく楽しめます。特撮フアンには。

 ハリーハウゼン先生と本多さんに捧ぐ、ゆう神様二人へのテロップにも納得。ゆうか涙…。

 まだ見てないヒトは、劇場へ急げ! DVD化を待っとるばやいじゃないぞ。

2013年8月15日木曜日

BLとは

 でかい複合店に出かけたとき、もう帰りますよ、ゆうところで家族を待たせて本屋に走った。

 買う本(マンガ)は決まってるが、本屋がばかでかいもんで、見つけられるかが心配だった。

 ふつう、じぶんの常識では新刊コーナーは一カ所である。ところがそこんちはいたるとこに新刊コーナーがある。
 出版社までわかってんのに、どうにも見つかんない。

 家族待たせててあせるしぐるぐる回って疲れるしで、けっきょくあきらめて店員さんに聞いた。

 在庫を端末で確認したあと、"ご案内します"と元気な声でゆわれて、店員さんのうしろをついてった。

 とちゅう、ちらっと振り返って、"奥様の頼まれものですか?"と聞かれた。

 "!?" "ちがいますけど"

 会話はそれでおわって、こちらですっ、と本のとこについた。

 そこはえらくおくまった場所だった。

わし:"あのー、これって、BL本っちゅうことですかねえ"

店員さん:"そーですねえ。雑誌がそうなんで、たぶんそーです。"

 店員さんを横にマンガを手にとって、じっと表紙を見るわし。んぐぐぐぐ。

わし:"ちょっとー、考えますわ"

 店員のお嬢さんは、にっこり笑って去ってった。

 いぜんに表紙買いしたその作者さんのマンガが、なかなか雰囲気のある話と絵で、読後に余韻ののこるとこが気にいっとったんじゃけど。まあ、多面的に、精力的にお仕事をしてらっしゃるゆうことでせう。

 BLゆうても、ベーコン&レタスの略じゃあありませんぜ、ダンナ。

 けっきょく買わんで、エレベーターの中での会話。

わし:"あのヒトのマンガの新刊、BLじゃった。"

娘(中学生):"あ、ほーなん?"

わし:"まあBLじゃけえゆうて、おもしろうないとはかぎらんけどね。"

 言い訳、または負け惜しみである。

 高校生ぐらいのころ、女子男子ごしゃまぜのグループで賭けやって、負けたヤツが"June"買いに行く、ゆうのやっとったなあ。

 あー、はずかし。

恐怖!フジツボおとこ の せいかつ

 たった半日の日焼けでがっつりと焼けてしまったワシ。

 肩ぐちからぺりぺりと薄皮がはがれはじめたまではまだよかったが、その後どんどんひろがる病態が、服の袖で隠しようがなくなってきた。

 いまじゃ、手首ちかくまでひろがってきた。

 はがれる皮は厚さ何ミクロンか? 極薄で、深く日焼けしたときのようなかゆみや痛みはない。日焼け当初のひりひりもすぐに消えてしまった。

 あとは見た目だけ。すばらしく不細工である。

 皮フが浮きはじめた時点で、ウロコだか、ウロコとったあとのサカナだかのようになってたが、いまはフジツボ状態。

 むかしの特撮映画っぽくいえば、"恐怖! フジツボ男"。

 不細工とおりこして、たぶん見るヒトには気色(きしょく)わるいと思う。じぶんがやらかしたんだから仕方ないで、きれいにピーリングがすむまでがまんするしかない。

 ただし、家族からは、きもちが悪いと容赦なく言われると同時に、"一枚だけはがせて"とよく言われる。で、"んじゃ、一枚だけな"と言ったりする。

 カミさんなんか、一枚にこだわって、えっらい面積の皮をしんけんにはいだりする。いやっ、そこはまだ浮いてないじゃろうが、なにしとんの!

 ぺらぺらひらひらしたはがれかけの皮が、えらくそそるらしい。これも容赦ないか。

のー・えれヴぇいたー

 一家で遊びに行って。よる、駅に帰りついてホームに降りて。

 振りかえったらアメリカ人のお姉さんが車両から降りようとするとこだった。

 その荷物が超でかい。小学生が入ってんじゃねえの、っちゅうくらいのトローリー(トランク)がふたつ。と、これまたでかい紙袋をさげてらっしゃる。

 こりゃあ手伝っちゃげたほうがええんじゃろうか、と考えてるうちに、よいしょとひとりで降りちゃった。そこまではえかったんだが。

 つぎの瞬間、べりりと紙袋がやぶれて、荷物の一部がするりんと車両とホームの間から落ちてしまった。

 さすがにこれはってんで、カミさんとあたふた動きはじめた。これまた見知らぬ兄ちゃんが駅員さんを呼びに走り、その間に散らかった荷物を拾いあつめた。

 線路に落ちた荷物は、電車が車庫に向けて発車して、やっと拾うことができた。

 ものはついでで、紙袋はバリ裂けとったんでカミさんが抱え持ち、トローリーのひとつは自分が持って改札への連絡橋の階段を上っていった。トローリーは、大きさでかいだけじゃなくって、重さも小学生の低学年ぐらい入ってんじゃねえの?、ゆうくらいに重かった。
 よくまあ、こんだけの荷物をひとりで持ってきたもんだと思った。空港からこれだったんかいな?

 アメリカ人の姉さんは、ひいひい息を切らせながら、"ノー・エレヴェイター"と苦笑いしていた。

 イナカへようこそ。駅にエレベーターもエスカレーターもありまへんが、いらんことしー(世話焼き)のおいさんやおばさん(や若者)がおりますんで、それで許してちょ。

2013年8月12日月曜日

音と 耳

 あさ8時前に、ンポポポポと低いローター音が聞こえた。

 朝飯食いながら、"みさご"が沖縄に飛んでったと思う、と家族に言った。

 さっきテレビを見ていた妻が、3機飛んでったとニュースで報道されてると言うてた。

 まるで、なんですな。戦う小国民が、B29のレコード聞いていっしょうけんめいきたえました、んな感じ。

 慣れというか、慣れない音というか。どっちぢゃろ?

きゅうかんび

 アルコールだけじゃなく、こうゆう日がひつようらしい。

 ゴミ出しして、郵便受けのぞいたら、新聞がなかった。

 新聞がないと…、新聞小説が読めねえじゃん。

 新聞小説が、読めねえじゃん。

 "親鸞 完結編"、超絶おもしろいっす。挿絵もね。

2013年8月9日金曜日

ひやけ

 顔をあわせるヒトにいちいち笑われるぐらいに、すんごい日焼けしている。

 "なぜそれほどまでに日焼けしたか"を、何度説明したっちゅうもんじゃない。

 腕がすごい痛くて、熱をもってたが、それはなんとかおさまってきた。でも、"腕だけ別パーツ"ちゅうくらいに色が違う。

 で、すぐに皮がへげる(はげる)んだろうな、と思っていたが、もうはげ始めた。

 それが、でこぴん(ヒタイ)からはげだした。でこぴんが、ざらざらしてきた。

 風が強くてしかも向かい風で、息するのが苦しいぐらいじゃったんじゃけど、風ででこぴんが露出して、おもいきし日焼けしてたらしい。

 娘によれば、ヒタイのはえぎわに、"こっから日焼けしてます"ゆうラインがくっきりあるそうな。

 じきに腕もぽろぽろ皮がへげて、汚なげなかんじになるんだろうな、と思う。ムラムラに美白状態ですな。

2013年8月5日月曜日

かもかも

 沖縄で、海兵隊のヘリが墜落したかも。かも。

 ヘリはCH46かも。かも。

 あすの報道がたのしみですのう。

 ”老朽化したヘリは危ないよね”

 か?

 ”近所に米軍があると危ないよね”

 か?

 あ、一部をオスプレイと交代させて退役する予定のヘリコ、CH46はすごく古いゆうのは、あまり報道してはいけないらしい。かも。

 きょうは、半日埠頭でぼーっとして。さんざん日焼けして腕、顔がとても痛いんじゃけど、沖縄に飛んでくゆうてたオスプレイ(ミサゴ)は見れなかった。

 でも、海をぼーっと見てたら、空中から海にダイブしてる鳥さんを見かけた。あれって、オスプレイ(ミサゴ)? かも。



※防衛相が、「米空軍所属のHH60ブラックホークタイプのヘリコプター」と発表
 朝日新聞デジタル 8月5日(月)18時22分配信

危機管理

 えー、監視をつづけるわたし。

 国を守る若い力の、電子戦機だか対潜哨戒機だかがぐるぐるタッチアンドゴーをやっとるのを、ぼーっと缶コーヒー飲んだりタバコ吸ったりしながらながめていた。

 コーヒーが効いたものか、つよくなった風で体が冷えたものか、自然が呼んでがまんできんくなったので、埠頭をはなれ、小用をたしに近場の塀ぎわの茂みに行った。

 じょろじょろと用をたしてると、足元の草っぱにシオカラトンボがとまっている。そのよこをぶぶーんとアシナガバチがよってきた。じぶんのジーンズにまとわりつくようによってきたのを目で追ってると、ばすっと音がして左足を踏みぬいた。

 壁ぎわの側溝が部分的にぬけて、板切れかなんかでふさがれてたらしい。

 左腕を見ると、とげの生えた植物でばりばりに傷がついて血が出てることもあった。

 油断してしまった。

 監視活動には危険がつきものである。

 日が高くなるにつれて釣り人はひとりふたりと減っていき、いまは二人だけ。

 ぼーっとしてる時間がながくて、なにしにきたか目的を忘れそうである。

 米軍機は1時間以上前にあがったホーネット1機だけ。

 うすぐもりで日はさしているが、風が強くて涼しい。

かんし かつどう

 ひまにまかせて、"みさご"の監視活動のため、埠頭にきたであります。

 ほんとは監視でなく、お見送りゆうか、正直にゆうとやじうまであります。

 平日だけに、近所の工場から、高く低く、働く音がしたりはするが、波の音がちゃぷちゃぷ聞こえて、とても静かであります。

 釣り人が意外に多くて、2、4、6人ですね。

 自衛隊の電子戦機が1機飛んだだけで、空も静かであります。

 "ぴしっ" "いでっ" "あっ、ごめんごめん"

 さきほど、釣られたであります。

 静かななかでも、監視活動は危険をともなうであります。